理事長メッセージ

理事長メッセージ

理事長メッセージ

理事長メッセージ

はじめに

 人は変わることができるのでしょうか。根っこの部分は変わらない、三つ子の魂百までなのかもしれません。しかし「人」は「社会」は、成長を続けていかなければなりません。その成長にフォーカスし、人に機会を提供する団体こそが青年会議所(以下JC)です。また、その団結の掛け声として「地域の課題を解決する」という大きな理念のもと、我々は運動を続けてきました。我々が変革の起点となる、その情熱こそが、青年にしか持ちえないエネルギーです。そんな熱い思いと歴史を、世界で100余年、日本で70余年、徳島で60余年間、先輩諸氏の方々が紡いできてくれました。我々にはその情熱の火を絶やすことなく、更なる推進力に変えて邁進していく責務があります。地域の未来に責任を持つ団体だからこそ、それぞれの役割を全うし次世代につないでいく、そんな思いを抱くまでに成長をさせてくれたのはJCでした。リーダーとは、人治とは、法治とは、沢山のことを深く考えさせてくれたのは、シニアの先輩方、LOMの仲間、全国全世界の仲間達です。世界中に散らばる仲間を誇りに思うとともに、我々は住まう地域のために、また徳島JCここに有りという存在感と存在価値を高めていくためにも、全力で走り抜けることを誓います。

全員で取り組む会員拡大

全員で取り組む会員拡大

 どんなに高尚な想いが有れども、伝え、紡ぐ人財がいなければ、理想は理想のままで終わってしまいます。組織は、より多くの仲間と一緒に活動・運動を展開していくことで活性化します。新たなメンバーと交流を深め議論を重ね、新たな知識を得ることでビジネスの機会や自社事業のヒントにつながることもあります。JCは、様々な業種から構成される組織であり、多様性の中からこそ変革は起こります。様々な人財が共に切磋琢磨し、修練・奉仕・友情の精神を育む組織を創ることこそ、徳島の発展を支えることにつながると確認しています。
 しかし徳島JCの会員数は、全国のJCメンバーと同じく減少傾向にあります。また現在の徳島JCの平均在籍年数は5.7年となっていますが、現役組織としての経験値を蓄積し、より経験と知識の豊富なメンバーを育てるためには、より若い人財に興味を持ってもらえる組織へと成長しなければなりません。そのためには後述の組織運営の抜本的改革や、より多くの成長の機会の提供が必須であり、ときにはメンバーの負担を分配することで軽減することも必要な時代になっていると言えます。ひとりでも多く、またより在籍年数の多い仲間が増えることで、JCの存続と明るい豊かな社会の実現に近づきます。そのためにもJCの良さを各々が理解し、メンバー全員が積極的に取り組む会員拡大と、地域とともに作る拡散力の事業構築、異業種交流会の開催や、我々の活動をSNS等で発信し、その価値を知っていただく機会をより多く提供して参ります。
 未来の徳島JCを担う人財の発掘・勧誘に関して「質と量どちらを優先すべきか」という議論の一つの答えは「質より量」であり、量を担保した上で質の高い教育が重要であるとされていますが、更に次のステージに向かうためには単に会員数を増やすという数値的目標達成を目指すだけではなく、理念が浸透した結果が会員拡大へとつながるようにならなければなりません。JCの唯一の入会資格は「品格ある青年経済人」であることです。一人ひとりの理念の解像度が高くなることで行動は変わり、組織としての品格が高まることで、自然に会員が集まることが理想の形であると言えます。本年もJCの理念について学ぶ機会を提供し、メンバー全員で理念の理解度を高め、ともに徳島の未来について語る仲間を一人でも多く慕って参ります。

寄り添う人財育成

寄り添う人財育成

 例え多くの仲間に恵まれようと、目的がバラバラでは何かを成し得ることはできません。JCの本質的価値に共感し、多くの人を巻き込む共感力を備えたJAYCEEの育成が求められています。誰もが夢や希望を、JCを通して実現できる可能性を感じ、実行することができる組織へと発展・強化することが肝要です。近年、様々な団体に入会する選択肢が多い中、JCだからこそ提供できる価値を提供し、JCならではの経験を通して、人間力を高める必要があります。それらは例えば人脈であり、経験であり、1年を通して職務に全力で取り組むことで得られる達成感です。志を高く持ち、共感力に溢れ、笑顔で何事にもポジティブな人財を育成します。入会後のフォローにこそ注力し、会員の資質向上を図り、青年経済人としての品格を身に付けます。
 若いうちから地域のことを考える機会を提供することで、次世代のリーダーを育成することこそが、我々の使命の一つです。私もそうであったように、全国の仲間の中には、JCの意味を理解しないまま入会し、自己犠牲を感じつつ活動・運動を続けていた仲間もいます。しかし、JCに対する理解が深まるにつれて、歴史と、深みと、おもしろさを体感するようになりました。これらは決して一人で体験できるものではないと断言します。徳島JCで育ったリーダーは、県内はおろか、日本中、世界中に仲間がいます。不屈の精神があり、多様な意見を取り入れる器量があり、共にチャレンジし続ける、そんなリーダーを一人でも多く輩出します。課題は一つではありません。それぞれが見つけた課題をリーダーたちが解決してくことで、大きなうねりとなり、徳島に変革を生み出し続けるのです。日本中、世界中に同じ目標を持つ仲間がいること、支えあっているということを体感したとき、その感動とエネルギーは何倍にも膨らみます。この体験を一人でも多くの青年経済人に体験してもらうべく、我々は運動を起こし続けます。一つでも多くの❝Positive Change❞を生み出すために。

密な国内交流、国際交流

密な国内交流、国際交流

 現在日本には、671のLOM(地域ごとに存在するJCの単位)と約2万4千人の仲間がいます。世界には109のNOM(1つの国に存在するJCの単位)と4,716のLOM、約15万人の仲間がいます。また徳島JCシニアクラブには、徳島の歴史を作って来られた約500名の先輩がいらっしゃいます。JCは、望めばその全ての人々と交流の機会を得ることができます。自社を、徳島を、より良いものにしようと思うのであれば、変化と順応をし続けなければなりません。そのためには自らが多様性の中に飛び込み、より多くの交流の機会を得る必要があります。本年はセミナー等を通じて「交流」の本質を伝えつつ、多くのメンバーで積極的に各行事に参加し、互いの人脈を最大限有効活用することで交流の輪を広げ、より密な関係値を築く機会を提供することを約束します。
 JCには4つの機会があります。1.個人の機会、2.地域の機会、3.国際の機会、4.ビジネスの機会です。中でも国際の機会は今も世界大会などの各種行事に参加することで機会を得ることができますが、過去にアメリカのサギノー市と結んだことのある姉妹LOMを除き、この数十年徳島に姉妹LOMはありませんでした。しかし2023年より台湾の虎尾國際青年商會(フーウェイJC)との交流により、国際の機会を提供する幅が広がりました。これまでの活動として虎尾JCのメンバーには徳島の誇る伝統的祭りである阿波踊りに参加していただき、また徳島のメンバーは世界三大宗教祭典とも称される媽祖誕辰(海の女神の生誕祭)にご招待いただき、良い関係値を築いて参りました。そしてついに2024年11月1日、世界会議の台湾の地にて姉妹締結を行ったことにより、これまでの活動が継続的なものになることが互いに約束され、より強固な関係構築のためにこれからの活動について話し合いが進められているところであります。
 我々の掲げる理想に、「恒久的世界平和」という文言があります。我々青年経済人が若いうちから国際の意識を持ち、その同胞愛を以って国家による統治を超越すること、また国際的ネットワークを先導することが理想形の一つです。一人ひとりが国際的立場を自覚し、他国との良好な関係値を築くことができるのもJCの魅力です。県内外の仲間やシニアの先輩方との交流の機会をより密に、国際交流の機会をよりオープンに開拓していくことで、国際的意識の向上と視野の広いリーダーの育成に努めて参ります。

まちづくり事業で活性化を

まちづくり事業で活性化を

 JCの活動は地域に根差しています。JC宣言にも現される「社会の問題解決」。その社会とは、それぞれの活動する地域を指します。つまり、徳島JCは徳島市の発展のために存在する組織であると言えます。まずは住まうまちの課題を抽出し、それらの解決の起点、変革の起点として事業を計画・実行に移す必要があります。徳島の抱える課題は、例えば30年以内に70~80%の確率で発生すると予測されている南海トラフ地震の防災対策や、深刻な企業の後継者不足問題、全国平均の13%から見ても21%と高い空き家問題、他の同じ人口レベルの市と比較しても高い人口流出と人口減少、高齢化問題、地域経済の停滞や、阿波踊りの存続と運営について、年間を通しての観光産業が少ないことや、すだちなど特産品のブランド向上、交通の不便さと都市開発の遅れ、低い選挙投票率、大きなイベント会場やシンボルとなるランドマーク的建築物が乏しいことなどが挙げられます。また徳島市は魅力ある産業や観光資源を有する一方で、その発信力の低さゆえに知名度が低く、インバウンドも少ない地域です。それらの課題に果敢に挑戦し、解決に向けた事業を構築することを誓います。
 まちづくりの意味するところは、単にインフラや施設など「もの」を指す言葉でありません。社会・経済・文化・環境、それら暮らしのそのものを形作るものです。徳島市は、豊かな自然環境と独自の文化を持つ地域です。それらの資源を使い、地域の活性化を図る事業を構築することも求められます。よって、時には専門家の知識を借りつつ、様々な角度からの視点で以って仮説を立て、産官学民の連携をより強固なものにしながら、課題の解決に向けた事業を構築することが重要となります。また持続可能な社会を創るためには単発的な事業では変化を起こすことは難しく、時には事業の検証結果を以て行政に提言することや、移管先と提携することで継続的に課題解決に向けてアプローチすることが求められます。このように事業構築にはあらゆる要素が求められますが、徳島JCの持つ経験値や人脈、メンバーの一体感や熱意を以って事業の成功を目指して参ります。
 また徳島JCが他の経済団体と突出して違う点に、25歳から40歳までの若い青年経済人の集まりであることが挙げられます。我々の期待される要素の一つは、その柔軟性であり、スピードであり、好奇心であり、開拓心であり、行動力です。デジタルに強いことも挙げられるかもしれません。それら全てを勢いに変える必要があります。そんな勢いのある事業を展開することで徳島のためになるのだという強い想いを、まちづくり事業に乗せて参ります。

ひとづくり事業で問題提起を

 JCの求められる担いの一つは、青少年教育です。リーダーシップの開発と成長の機会や4つの機会に表される「地域の機会、国際の機会」は、何もメンバーのみに与えられた機会ではないと考えます。次の世代を担う子供たちにリーダーシップとは何か、フォロアーシップとは何か、地域の魅力と触れ合う機会や、地域の課題を考える機会、また我々もまだ構築途中である国際の機会ですら、提供できる可能性は大いに広がっていると感じます。JCの活動・運動はよく「水がない地域に井戸を掘るのではない、井戸の掘り方を教えることでノウハウが伝播し、活動がやがて運動(Movement)となる」ことを目指すべきであると例えられます。ひとづくり事業こそ、この考え方を体現するに相応しい事業であると言えます。
 また地域の学校教育も、教員と生徒の関わり方は変化し続けています。教育に必要な知識の幅も広がる一方、受験等に必要なカリキュラムに追われている現実もあります。小学校から大学生に至るまで生徒から見た視点、またその親御さんの視点から見たとき、必要な教養を十分与えることができているのでしょうか。一度その視点に疑問を持ってみるのもいいでしょう。インターネットの普及や様々なコンテンツと適切に関わるためのリテラシー教育や、人工知能やプログラミング、人種の多様化、金融や株式・保険についての知識、政治についての知識、人との関わり方、その他様々な学校教育を補完する事業こそ、地域から求められているものかもしれません。そしてそれらは正に、彼ら彼女らが社会に出た瞬間から必要になっていく重要度の高いものでもあります。それらの課題を厳選した中で我々の知力を最大限発揮し、もっとも「ひとづくり」に相応しい事業を構築して参ります。
 最後に、まちづくり事業とも関わりが出てくるのが、地域の魅力を発見・再認識することで人間的成長を促すことや、この街の一員であることの誇りを持つことで徳島の未来が活性化する可能性が秘めていることも無視できない要素であります。若いうちにJCの事業に触れることで「地域」や「未来」に対する内発的動機付けを高め、更に我々の存在意義と価値を向上させることができ、また今後彼らがJCの一員となって事業を構築する側に回る、そんなサイクルが生まれることで、徳島はもっと素敵なまちになります。地域に求められない事業では自己満足で終わってしまうという現実を念頭に、これからの徳島の「ひと」にフォーカスを当てた事業を構築して参ります。そしてそれらの運動は、これからの徳島をより良い地域にするものになると確信しております。

組織運営に改革を

 我々は常に変革の起点に立っているという意識は、事業や例会だけに対することではありません。長く続く徳島JCも、温故知新の心を以て、時代に合わせて変化をしていく必要があります。必要なものを取り入れ、重要度の低くなったものを止める、その取捨選択は、簡単なことではありません。そして単年度制というのも、一長一短であるとも言えます。しかしそのメリットを最大限利用し、思い切った組織改革を行うことも、時には必要となります。我々はチャレンジする組織であり、民主主義を重んじる組織でもあります。チャールズ・ダーウィンが述べたとされる有名な言葉に、「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが引き残るのでもない。唯一生き残るのは、変化に最もよく適応したものである」というものがあります。まさに時代の変化と自分たち自身の変化を恐れず立ち向かうことで、進化につながるのだと確信しています。
 例えばその変化の一つとして、毎回の例会や事業でのメンバー向け託児を設えます。これまでも託児を設えたことはありましたが、毎回の例会で別室に託児施設を設けることでメンバーとその家族の負担を減らし、出席率の向上を図ります。徳島のために行動したい想いは強いが、時間的制約の負担のためになかなか実行に移せない、そんな機会ロスを少なくする必要があります。またその影響は、会員拡大にも良い影響を与えると確信しております。子育て世代が多い組織だからこそ、そんな思いを持つメンバーが一人でもアクティブになることにつながることで、より良い組織へと進化することを目指します。
 戦後日本は長く労働生産性によって発展し、世界にも引けを取らない経済大国となりました。しかしバブルの崩壊から長く経済は停滞し、現代社会の直面する課題である少子高齢化を前に、今までのやり方では通用しない時代に突入しています。「労働生産性ではなく、知的生産性の向上」。それこそが我々の世代に必要とされる手法であり、目指すべき英知の集大成であると言えます。そのためにはAIやBOTを含むあらゆるツールを使いこなし、使用レベルをより高みに昇華していく必要があります。本年はその教育の機会も例会等によって提供して参ります。その他これから迫り来る幾多の試練や困難に、柔軟な思考を以って立ち向かい、変化を恐れない組織運営を目指します。

地域にリーダーが何故必要か

 MissionやVisionに表現されるリーダーとは、どのようなものを指す言葉でしょう。リーダーとボスの違いについて論じられるところではありますが、我々はどのような行動を取ることができるようになると、リーダーとしての資質を磨いていると言えるでしょう。会社のリーダーとなることが、リーダーたる所以であり、ゴールなのでしょうか。もちろん我々一人ひとりは会社を代表してJCの活動に参加している以上、会社に何かを持ち帰ることも必要不可欠です。しかしそれだけではないはずです。私が考えるリーダーは、「問題を自分ごとと捉え、役割を担うことを恐れない人間」です。リーダーにも様々な役割・担いがあります。日本の最高位のリーダーは内閣総理大臣ですが、社会の中には、PTAの会長や民生委員、地域の消防団など、彼らもまた立派なリーダーです。地域の課題を解決するために、決して自己犠牲だけではなく、「頼まれごとは試されごと」の精神で、地域の人々に頼るのではなく、頼られる存在になるための修練(Training)を積むことこそが、JCの存在意義の本質ではないでしょうか。またそんな仲間が増えることで、将来助け合い、本当の意味で地域の課題を解決し合える仲になることが、私の願いです。
 フランスには、「ノブレス・オブリージュ」という言葉があります。この言葉は、社会的地位や権力・財力を持つ者にはそれに相応しい行動や道徳、社会的責任が求められ、弱者や社会のために貢献すべきだという倫理的な義務を意味します。「Noblesse(貴族)」と「Obliger(義務を負わせる)」を組み合わせた言葉で、19世紀に生まれたこの概念は、フランス革命以前の貴族社会において強調されていましたが、現代においてもリーダーや影響力のある人々がその立場に応じた責任を果たすべきだという意味で使われることがあります。また、リーダーには偽りや私心、わがまま、奢りの心があってはいけないという高潔な生き方をおのれに課すことも、ノブレス・オブリージュの一種として捉えられています。我々は貴族ではありませんが、高貴な心を養うことはできるはずです。私もまた、発展途中です。泥臭くたっていい。心は清くあろうという精神を宿すことが、その第一歩であり、忘己利他を体現できる原動力であると確信しています。

結びに

結びに

 私が2022年に、ある日本JCの事業に参加させていただいたときのことです。「Pay it Forward ~恩贈り~」という言葉に出会いました。直訳すると「誰かのために支払う」という意味ですが、恩返しが恩を受けた相手に返す言葉であることに対し、恩贈りは恩を受けたことを別の誰かに返すことを意味します。まさにJCを表す言葉であり、これこそがリーダーの思考であると感銘を受けました。脈々と続くJCの歴史は、先輩方の愛によって存続してきました。その恩を我々が「人」や「地域」に贈る順番になったのです。
 JCの活動・運動の期間は短く、40歳で終わりを迎えることとなります。日本中、世界中に、活動を続けたかったけれど挫折せざるを得なかった仲間達もいます。そんな仲間達の想いを胸に、我々は進み続けなければなりません。またこれからの地域のために、それぞれが何をできるかをこの1年間考えつくし、体現して参ります。徳島JCはそれぞれが明確にビジョンを持ち、共有し、共感する、仲間であり、良きライバルです。JCで得た出会いと、JCで得た知識と経験を武器に、これからの徳島を牽引します。そして夢を実現させたとき改めてJCに感謝する、そんな組織を作ることを目指すとともに、一緒に活動してくれる仲間を本当に誇りに思います。1年間で訪れるであろう数々の苦難も、また卒業してから訪れるであろう苦難も、仲間となら乗り越えられるはずです。同じ船に乗ったことを決して後悔させないよう、共に汗を流し、「最高だった」と1年を締めくくることを誓います。

FOLLOW US
一般社団法人徳島青年会議所
公式インスタグラムアカウント
instagram
tokushimajc
Next