理事長メッセージ

top_main

はじめに

 「青年は高度社会への推進力であり、祖国日本の生成発展への道もまた我々青年の双肩にかかっています。」との設立趣意書のもと、1957年5月6日に誕生した我々、徳島青年会議所は、一昨年度60周年という大きな節目を越え、昨年度新たな、そして着実に次代に向けての一歩を踏み出した。今年度は組織体制をより強固で盤石なものとしながら、調和を重んじ、さらに一歩先、二歩先を見つめるような挑戦者であり続けるため、基本理念「初志貫徹~和で紡ぐ笑顔踊る徳島の実現~」を掲げ、以下で述べる5つの基本方針に基づき邁進したく考える。
 地方創生が叫ばれ始めて久しいが、徳島においても少子高齢化、人口減少、都市としての求心力不足の問題に歯止めをかける特効薬は、まだ見つかっていないといえるだろう。近年では、日本各地で集中豪雨や異常な酷暑等、想定外の自然災害が起こっており、我々を取り巻く環境には依然として厳しく、立ち向かうべき困難は増え続けている。だからこそ、我々青年たちが明るい豊かな社会の実現にむけて力を合わせねばならないのである。
 幸いなことに、我々には素晴らしい先輩諸氏がいる。温故知新ということばにあるように、新しい創造や挑戦にはまず、学ぶことに理がある。先輩諸氏が築いてこられた軌跡や思いに対し、深い感謝の意を表するとともに新たに挑戦すること、そして次世代にしっかりと引き継げるよう努めることをここに誓い、責務を全うしたく考える所である。
 また現在世界規模では、2015年の国連サミットで採択された、2016~2030年の15年間で達成すべきSDGsの17の目標が掲げられ、それらを達成すべき具体的な169のターゲットが示されている。日本もこれを推進すべく指針を設け国内外を問わず施策を展開している。また国内の地方自治体をはじめ様々な団体が、SDGsの実現に向けて、経済、環境、社会の3つの観点から取り組んでいるところで ある。我々徳島青年会議所においても同様に、2019年度はこれらを考えて事業を展開する所存である。

人間力を高め、笑顔溢れる人財の育成

message

 時代や場所を問わず、社会を構成し支えるのは我々一人ひとりであり、社会を動かすことができるのはその中でも、勇気と気概に満ち人間力溢れる者だけである。地域社会の活力は、そのような人間が如何程いるか、に依っている。
我々青年こそ、明るい豊かな徳島の実現を目指し、社会を牽引する先駆者でなければならない。そのためには、個々の人間力を高める必要がある。人間力とは、自他への客観的な判断力、社会の激変にも臆さない対応力、多様性を認める受容力、仲間と目標を同じくできる協調力が合わさった、総合的能力と考える。これは、我々徳島青年会議所の若く個性豊かな仲間たちと意見を戦わせ切磋琢磨し、地域貢献活動やまちづくり・ひとづくり事業に主体的に取り組むこと、また日本各地あるいは世界の青年会議所とのつながりを通じて、自ずと醸成されるものであると考えている。
よって、2019年度の徳島青年会議所はメンバー同志でも更に意識を向上させ、出向者への関心、支援に一層力を入れていきたいと考える。対外からの学びを取り入れ、各事業へ積極的に参加参画することで、個人の進化と、メンバー間の密な関係性の構築を遂げていきたい。こうして、我々が学び取り入れたものを、さらに課題解決へと実践的に活用できるようになればきっと、メンバーは皆、人間力に満ち笑顔は溢れるはずであると信じている。
淀んだ水たまりでも、風が吹けば水面は揺れ、小石が投げ込まれれば波紋は次第に大きくなる。徳島は例えるならば、清水である。しかし澄み切った水も放っておけば、次第に腐る。我々青年会議所の一人ひとりは、社会を動かす先駆者であるという自覚を持ち、風を呼び起こし、小さくとも影響力のある一石を投じ続けねばならない。

志を持ち、組織力へつなぐ会員拡大

message

 如何に一人だけが努力しようとも、影響力は知れている。一人ひとりが強い意志を持ち、志を同じくする者たちが集まれば、その組織は強い。
 「船頭が多くして船山に登る」。リーダー気質の者が多いことで統制がとれない様を表す、水都徳島でも使い古されたことばである。しかし私は、一人ひとりが船頭の気概を持つことは必要ではないか、と考える。皆が船頭の気概を持ち責任感と危機感を抱きつつも、同じ一つの大きな船に乗っているということ、明るい豊かな社会の実現という一つの大義のもとに集った仲間だということを忘れないことが肝要である。つまりは、「和」なのである。
 ここ数年、全国的に青年会議所会員数は減少傾向にあるものの、徳島青年会議所では毎年目標人数を上回る、多くの人財を集めている。これは、今までの活動の成果に他ならない。今年度においても、さらに強い組織体制を構築し地域に貢献するために、和の精神醸成を広め、さらなる会員拡大に努めたく考える。メンバー一人ひとりが地域のため人のために行動し、自己成長へとつなげられる組織であることを理解してこそ、勧められた人にその想いが伝わっていく。伝える側が拡大の意義を分かっていれば、そこに巻き込んでいく力が生まれるのである。勧誘するのではなく、新入会員が青年会議所を熱く語れるように成長し、伝えていけるようになることが真の会員拡大につながると考える。
このように徳島青年会議所自体の会員拡大を通して、組織力も高めるとともに、各地の青年会議所はもちろん、県内外の様々な団体や個人とつながり、協働することで、組織の影響力も高められればと考えている。

相互理解を深め、ともに築く国際交流

message

 近年、グローバル化の進展は目覚ましく、地域にいながら世界は身近である。ここ数年、訪日外国人、特にアジア圏からの観光客も激増しており、当初大半の目的が日本製品の購入であった訪日も、最近ではアクティビティやポップカルチャー体験の享受、日本文化を肌で感じられるようなコト消費への転換が見られている。徳島駅周辺でも、様々な言語を耳にし、大きなバックパックを背負った外国人をよく目にするようになった。
 再び訪れたい、もっと長くいたいと思われるようなまちはどのようなまちか。来てよかった、また会いたいと思われるようなひとは、どのようなひとか。徳島には四国遍路の寺が多く、我々にはおもてなしの精神が息づいている。外国人が何を求め、まちを訪れるのか。動向を理解することで、我々のまちを選んでもらえるような方策を考え、取り組みたく思う。そして、持続可能な観光の観点から、徳島中心部の資源に目を向けて、その保全や活用、広報活動を行う上で、人の流れがまちの中心部にでき、延いては持続可能な観光につながるものと考えている。
また、今後は地域の国際化を担う人財の育成と共に、世界を訪れ知り、本物に肌で触れ、学び取ってくることも重要である。そのような交流を重ねることで、こちらから提供できるものがあれば協力し、反対にこちらが取り込むべきものがあれば協力を仰ぐというような関係性ができればと考える。2019年度はその交流基盤を築く足掛かりとしたい。そして、草の根レベルの国際交流から、経済交流・国際協力へと大きくつなげていきたく考えている。
 文化や作法は、国によって相違する。この相違は大きな壁のように感じられるが、それは越えられる壁であると信じている。相手を知った上で相違を認め合い、相互理解を深めることで、温かい心の遣り取りができると考える。このような国際交流の機会を増やしていきたい。

文化とこころを伝える「粋」なまちづくり

message

 我々は徳島の文化や資源を享受している。当たり前にこそ、価値が埋もれているのではないか。確かに、徳島は都会的魅力に乏しいかもしれない。刺激的な娯楽も少ないかもしれない。しかし周りを見回してみるとよい。眉山に阿波踊り、豊かな水資源に人懐こいまちの人。自然がある。伝統文化がある。温かい人々の真心が、ある。ないことを嘆く前に、今一度自分の持ち物に目を向けてはどうか。きっと、再発見があるはずである。価値の多様性に気付くはずである。何故、文化や資源は脈々と受け継がれてきたのか。我々はその中にいて何をすべきなのか。まずは、それらに思いを巡らすことである。そして、活かす道を模索するのである。
 もちろん新たな価値の創造や新技術獲得への挑戦も、必要不可欠である。様々な技術が日々刻々と生まれては消えている。これらの中から有用なものを選び、適切且つ効果的に活用できれば、社会が豊かに塗り替わるのは間違いない。埋もれている地域産業や中小企業・小規模事業者等の世界ナンバーワンの技術やオンリーワンの技術を他分野で応用し、産学官と連携することで、地域資源を活用した科学技術イノベーションも起こすことが可能であると考える。
 我々が住み暮らす徳島には阿波踊りをはじめ、豊かな水辺環境や文化、世界から注目を集める阿波藍等、様々な地域資源が存在するにも関わらず、地域ブランド調査の魅力度における順位は、依然として低い。様々な情報手段を活用し、内外に向けて徳島の魅力発信を促進したい。我々地元民にとっては古臭く思えるものが、他地域の方にとっては新しく映るかもしれない。新技術と伝統の調和を図る事によって、そこに新たな価値が生まれるのではないか。
 「粋」ということばがある。世の中や人情の機微に通じている様を示す表現である。伝統文化への理解を深めつつ新技術への好奇心を抱き、新旧の価値が結びつく可能性を見出し積極的に提案していくことで、「粋」なまちがかたちづくられることと信じている。 

郷土と次代を担う「粋」なひとづくり

message

我々徳島人の考え方や生活態度等、人としての規範、社会活動の基盤が、長い歴史に培われた文化や風土にはある。そのような郷土への正しい理解から、郷土への愛へとつなげていく。まずは我々の住むまちや風土、文化を正しく知り、魅力や誇りを感じられるような機会を設けたい。そしてそれをさらに広げ継続し、とくしまブランドとして定着させる。このような地道な活動を通じて、人々のまちへの愛着や誇りを強くし、住み続けたいという気持ちを醸成させたいと考えている。
「粋」な人は、自ら楽しめる人であると、私は考える。自分がまず楽しまなければ、楽しくはない。そして、皆が楽しまなければ、楽しくはない。人種や性別に関わらず、あらゆる人々の笑顔が、心が、踊るようなひとづくりを目指したい。そのためには、門戸を開きあらゆる人々を受け入れ取り込んで、ともに楽しめるような、共生できるような事業を増やしていこうと考えている。徳島を含め地方都市では空洞化や地域コミュニティの崩壊が危惧されている。また時として猛威を振るう自然災害時、頼りになるのはまちの人々である。互助・共助が自然とできるようなひとづくりをし、主体的に参加できる「粋」なひとづくりを目指したいと考える。
我々青年には、歴史ある文化や風土を次代へ伝え、引き継いでいく責務がある。引き継がれるはずの次世代が今、徳島を離れる傾向にある。若い世代から地元への愛着や誇りを抱かせられるような、参加型の人財育成が必要とされるのではないだろうか。あらゆる人々が住み続けられる、持続可能なひとづくりを目指していくことを、最大の目標としたい。

結びに

message

以上、5つの基本方針はそれぞれ関係し合っており、バランスよく、時には柔軟に変化させながら取り組むことで「初志貫徹~和で紡ぐ笑顔踊る徳島の実現~」を達成できるよう邁進する所存である。昨今の社会情勢や我々を取り巻く環境は厳しく、困難は多い。その中で、徳島青年会議所の理事長という重責を担うことに、身が引き締まる思いである。しかし、全く気後れはしていない。なぜなら、私の前には脈々と引き継がれてきた先輩諸氏の功績があるからであり、私の周りには志を同じくする仲間達がいるからである。私自身が入会当初から大切にしてきた人とのつながり、和を最大限に生かしていき、初志貫徹として成った時に笑顔の私がいて、そこにはきっと、仲間の、家族の、そして徳島のまちの方々の踊る笑顔が溢れていると確信している。